34.目的の物を手に入れても、決してその時の満足感で終わらない

 養蚕業の道具については、わたし自身もすでに数軒聞いていました。しかし、なかなか見つからないでいたところに、3人が探し出してきてくれた「まぶし」でした。わたしに言われたのではなく、自分たちで考え、判断し、行動を起こし、ねばり強い探索の中で、かつて使われていた「本物」を手に入れたのです。
 「何軒もだめだったけど、絶対見つけてやると思っていた。」と、あの時興奮気味に話してくれた表情を、わたしは今でも覚えています。おそらく、3人にとって今でも忘れることのない体験になっているのではないか…と思います。

 そして、目的の物を手に入れても、決してその時の満足感で終わらないのがあなた方でした。「まぶし」を手に入れることが最終目的ではなく、あなた方にとっては活動の中の一つの「過程」に過ぎませんでした。一つ一つの充実した取り組みがそこで終わるのではなく、そこから新たな問題意識や課題が生まれ、探究行動へとつながり、この連続がダイナミックな活動をつくり上げていました。

 この頃のあなた方の間には、「蚕」をきっかけに地域を回る活動が主体的に生まれていました。回るだけでなく、家を訪ねることで、地域の方々とのコミュニケーションがそこには生まれていました。そして、情報を一つ一つ入手しながら、自分たちの課題解決に辿り着いていました。

                                       つづく…

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