50.「繭」づくりを一日中生中継で

 蚕はまぶしの中に自分の部屋を決めると、その部屋の中だけで動くので、一生懸命に繭をつくっていく様子をじっくりと観ることができました。朝の8時頃からビデオカメラを設置し、あなた方が下校する14時頃まで、クラスのテレビ局係の賢太朗さんが中心となって、1時間おきに録画ボタンを5分ほど押して断続的に録画もしました。

 最初は、蚕が頭を振ったり体を動かしたりして糸をはいている様子がよく映っていましたが、1時間、2時間、3時間と経つうちに、まだ薄い繭の中に蚕の姿がうっすらと消え始めていました。それでも、繭の中で必死に8の字を描きながら糸を吐く蚕の影がしっかりと映し出されていて、その蚕の姿にあなた方は感動していました。

 どのように感じていたのかはわかりませんが、あの小さな卵から誕生する瞬間を観察し、毎日桑の葉を集めて食べさせてあげて、自分たちの目の前ですくすくと育ってきた蚕たちが、今まさに繭をつくっている姿を見つめているあなた方の姿の方に、私は感動していました。

 今、この文章を読んでいて、まぶしを上る蚕の姿…、自分の部屋を見つけてその中で頭を8の字に動かしながら糸を吐き、自分の姿を隠していく姿…、翌日学校に行くと、きれいな形の繭になっていたあの時のことを、あなた方は思い浮かべることができるのではないでしょうか…。

 4時間が過ぎる頃になると、まだ蚕の姿は見えてはいましたが、すっかり繭の形になっていました。その繭は、コンピューターで計算されたようなきれいな形をしていました。本能なのでしょうが、この不思議さを観察できたことも貴重な体験であり、その後のあなた方の活動への大切なエネルギー源となっていたと思います。
                                       つづく…

コメント