有李さんからの電話では、製糸工場は群馬県にあるということでした。そして、その製糸工場の住所も電話番号も聞いたということを嬉しそうに話してくれました。電話なので有李さんの表情は見えないのですが、受話器の向こうにいる有李さんたちの興奮している様子が、声や息づかいから伝わってきて、私もわくわくしていました。
相手との交渉では、伝えたいことをしっかり伝えなければなりません。友だちに聞いているわけではないので、的確に内容を伝えることも、失礼のない話し方をするのも、たいへんな緊張があったと思います。この3人の行動を生み出したのは必要感からであり、そして何よりも、それまでの活動で動き出していた仲間たちからの刺激であり、私も…、私たちも…という思いを抱かせてくれる仲間の存在が大きかったのだと思います。
この時のことを祐菜さんが書き残しています。
私は、先生から電話番号を教えてもらって、さがみはらの農協に電話をしてみました。そしたら、もっとくわしく蚕のことで教えてもらえるといって、そこの電話番号を聞くと、また電話をしました。社長さんが出て、今の5年2組でかっている蚕の様子を教えてから、糸の作り方も教えてもらいました。その次には、一番大きなせい糸工場の電話番号と住所を教えてもらいました。
私は、電話をかける前は、ちゃんとできるかドキドキしたけど、かけてみると、ドキドキしなくなって、かんたんに、「はい……はい」と聞いていました。私は、そんなふうにじょうほうが手に入ったから、なんとなく安心しました。それが終わったら、学校に電話をして、中島先生にそのじょうほうを伝えると、先生はおどろいていました。だから、ちょっとすごいじょうほうを手に入れたんだと思いました。じょうほうを全部聞きおわったとき、早く学校に電話をかけて、中島先生にじょうほうを教えてあげたいと思って、じょうほうを教えてあげました。それに、こうして、有李さんと佳祐(比)君と私3人で電話をかけたり調べたりするのははじめてだから、すごく勉強にもなって、蚕について電話をしてみてよかったと思いました。(2000年7月7日)
この時のドキドキしたした自分を覚えているでしょうか…。
この時の3人の行動力と情報収集から繰り広げられていく活動がどれだけ夢のある大きな取り組みになるのか、成人してからも訪ねるような豊かな関わりをもつことにつながるかなんて考えもしませんでした。ただ、こういう行動力こそ、活動を発展させ、あなた方にとって貴重な体験を生み出し、学びや人間関係を深め、広げるきっかけやエネルギーとなっていくのだと改めて思いました。
つづく…
コメント