「桑の木や桑の葉」について探究していた紋加さん、未紗子さん、彩華さん、佳祐(富)さん、洋樹さん、葵さんたちは、自分たちで一度草木染めを体験し、その体験を生かしてみんなで体験できる計画を立てることも考えていました。
こういうところがあなた方の良さであり、すてきなところでした。自分たちの探究したい課題を追究し、解決して終わるのではなく、解決過程の中に、他の人たちを巻き込んで貴重な体験機会をつくりあげていくのです。そして、その機会を素直に受け入れることができる人たちでした。だからこそ、心豊かな人間関係を築いていく場面が、自然と生まれていました。
仲間が創り出してくれたすてきな体験や活動の中で得た充実感や達成感が、今度は自分たちの探究課題の中に「みんなを巻き込んでいきたい」「一緒にやりたい」「提供したい」という思いが生まれていくものです。このクラスにはそういう文化が着実に育っていました。
さらに、別のことで地域の方に話を聞きに行って集めてきた情報の中に、この6人が探究したい魅力的な話がありました。
黒川では、蚕が桑の葉を食べ尽くした後に残った枝は、束ねて東京の方に持って行ったということでした。「桑」も「こうぞ」と同じクワ科の植物であり、枝の繊維が強いということで、残った枝は「和紙づくり」の材料にも使われていたという情報がもたらされました。
教室には、互いに情報提供し合あう雰囲気がありました。それぞれに探究する課題を持っていましたが、根底には皆、「黒川の養蚕業」、「わたしたちの蚕」があり、自分の探究は全体の一部であって、「パズル」の一部ようなものになっていたのだと思います。
自分以外の課題にも関心があり、時には一緒に探究する人もいましたし、協力をお願いする人たちもいるなど、線引きをせずに取り組めたからこそ、貴重な情報や体験などを見逃したり見過ごしたりすることも少なく、すべてが関わり合ったことで壮大な取り組みへと広がっていったのだとわたしは思っています。
この頃はまだ探究過程ではありましたが、「桑の木や桑の葉」について探究していた6人は、「草木染め」と共に桑の木の繊維を原料に「紙すき」にも取り組みたいという気もちをわたしに伝えてきていました。
つづく…
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