114.「パンツもはいてきたよっ。」「俺もはいてきたっ!」

 一つの探究グループが全員に広げてくれた草木染め体験。私から提案して主導権をにぎって進めることも出来たかもしれません。そして、染め上がった布を手にしたときの感動は同じようなものが得られたかもしれません。
 しかし、ここまでにいたる「過程」が全く違います。草木染め体験を計画してくれた人たちは、探究する中で、調べることや実際に体験すること、そして、その体験を活かして全体に広げるために様々な準備をすすめてきてきました。この「過程」の中で、このグループの人たちは着実に成長し、自信やさらなる探究心を抱き、染め上がった布を手にした仲間の喜ぶ顔に達成感、成就感を持ったはずです。自分たちが中心となっている取り組みの中に仲間の喜ぶ顔を見ることで、仲間への信頼感を深めていくこともできたと思います。そして、その味わった感覚が、その後の桑の枝の繊維を取りだして行う「紙すき体験」にもつながっていくことになるのです…。クラス全体にとって価値ある体験であったことが、一人ひとりの刺激となり、自分の探究活動をより一層内容の深いものへと導くきっかけの一つになっていたと思います。

 草木染め体験の2日後、航さんが、染めたシャツを着て登校してきました。渋く染まったすてきな模様のついたシャツを自慢げに見せてくれると、今度は「パンツもはいてきたよっ。」と、これまた渋く染まったパンツまで、見せなくても良いのに見せてくれました。染められたシャツとパンツの「絞り模様」は絶妙でした。
 すると、「俺もはいてきたっ!」と嬉しそうにパンツを見せようとする一磨さん。お母さんに「最高!」と言われ、これまた自慢げに見せてくれました。
 「お母さんに〝ぞうきん?〟って言われちゃったよ。」とちょっと悔しそうに話してくれる人もいました。もしかしたらそのように見えてしまうものもあったのかもしれません。きれいに染まるのは、まだ使っていない真新しいタオルで、私はこのタオルを6枚用意し、自分でしぼった後、各グループに一枚ずつ染めてもらいました。染めあがったタオルは、まさに売り物になるような仕上がりでした。職員室でも「すごくきれいだね。いいね。」と先生方も驚いているほどでした。もちろん大切にとってあります。皆さんの中にもまだ持っている人は……。
                                       つづく…

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