13.ここから何かが始まる…

 地域の中には、子どもたちが学ぶ素材、学ぶべき事実や現象がたくさんあります。あの頃、教室でのあなた方の様子は、まだまだ調べたい…、もっと知りたい…という探究心や好奇心が満ち溢れていました。私は、あの時のあなた方の表情から「ここから何かが始まる…、始めたい…」、そんな風に感じていました。あなた方の意欲や行動力に、あの時はもう「何となく…」というものではありませんでした。

 探究心を抱き始めた子どもたちの願いや行動力を信じ、その方向性と連続性を担任が支援し、時間や環境を保障することができれば、子どもたちは主体的な学習活動をくり広げていくということを、それまでに出会った子どもたちから学び、教えてもらっていたからです。

 わずかな時間に、早速あなた方は自主的にさまざまな情報を集めてきてくれました。千織さんと一磨さんは、図書館から本を借りてきてくれました。幸樹さんと惠子さん、卓磨さんは、家の人やおじいちゃんおばあちゃんから話を聞いてきてくれました。玄太さんと達也さんは、インターネットで情報収集してプリントアウトしてきてくれました。沙織さんは、蚕を育てる話が出てくる「先生の通信簿」という本を持ってきてくれました。そして、芽さんは、以前飼ったことがあると話してくれました。持ってきてくれる情報を生き生きと伝えてくれることが、わたしの楽しみでもありました。

 調べるだけでなく、「蚕を育ててみたい…」という話も出始めていました。
                                       つづく…

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