教室では、毎日〝蚕の繭づくり〟が繰り返されていました。まぶしに蚕を移すと、習性から上へ上へと登っていく蚕。繭をつくるために、気にいった?自分の部屋を見つけると、その部屋に入っていつのまにか糸をはきながら足場をつくり始めていました。そこから、神秘的な繭づくりが始まっていきます。
蚕を自分の家に引っ越しさせて育てていた人たちの蚕も繭づくりを始めていました。そして、その繭も教室に運ばれてきていました。
家で育てていた利映さんが残していた日記があります。
私は、蚕に桑をあげると、すぐに桑に飛びつき、食べる蚕がかわいい。そんな蚕ももういない。ついにまゆを作り始めているじゃないか。どんどん絹糸で姿を消して私の目からかくれていく。なんで時間がこんなにはやく感じるのだろうか。きっと、私はよほど蚕が好きだったのだろう。蚕の美しい円形のまゆ玉は、最初っから出来ていたわけではない。初め、箱のかべによじのぼり、絹糸のキラキラ光る足場を作ります。私は、よくあのサラサラの足場ですべらないなぁと思いました。
私は、いつも11時に寝るのに、この日は夜中の1時まで起きていました。私は自分でもすごいと思います。するとお父さんに「なんでこんな時間まで起きているの。明日学校でしょう。」と言われ寝ました。そして、ねむい朝が来て、明るくなって、目覚まし時計が「ジャララーン」と3回なると、時計を止めて、いつのまにかベッドから落ちていました。
蚕の箱をみ・る・と………、あーっ、まゆの中で、蚕の口が8の字に回っている。
キャーッ。私は〝変化あり〟の蚕を見て大喜びしました。
蚕の8の字の美しい絹糸は、私の目では、三重~七重くらいの厚さに重なって見えました。まるで、運動会の応援団がやる旗の8の字を、何回もすき間なくやるようにくり返していました。私には、いつもの蚕よりも小さくなっているように見えました。そして、黄色っぽくすき通り、一生懸命にまゆを作っていました。
お父さんに「寝なさい」と言われても、寝なければよかった。起きていれば、蚕がまゆを作るところをずっと見ていることができたのに。でも、いつももっと寝ていたい朝をこわす大キライな目覚まし時計に、今回は感謝しています。
この日の朝のことを利映さんは覚えているでしょうか…
つづく…
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