60.皆の行動力を信じていたからこそ行えたこと

 「先生、すばらしいことだね。子どもから電話があって感動したよ。ちゃんと糸にしてあげるから。」

 電話でお話をさせていただいた茂木さんの最初の言葉でした。こちらが恐縮してしまうくらい喜んでくださっていたことも昨日のように覚えています。自分たちで繭まで育てたことももちろんですが、担任からではなく、あなた方から直接電話がきたことに感心されていて、一磨さんの電話で、クラス皆の思いがとてもよく伝わってきたと話されていました。

 群馬県の製糸農業協同組合に繭を送ることが決まると、放課後に自分たちで宅配会社から群馬に送ることになりました。住所と電話番号は確実に分かっていましたが、送り先の名称がはっきりしなかったため、もう一度電話をして確かめることに…。今ならば、パソコンやスマホですぐに調べられますが、あの頃はまだそういう環境ではありませんでした。
 あなた方ならばすぐに行動に起こすだろう…と思っていると、やはりすぐでした…。給食中のあなた方の会話の中で、「今日電話して送り先の名前を聞こうよ」という一磨さんの声に、「職員室の電話を借りれば…」と応じる声が聞こえてきました。

 これは絶対に電話をするだろうな…と思った私は、昼休みの間に、もしかしたらあなた方が電話を借りに来るかもしれないということを職員室の教頭先生に伝え、また、群馬の製糸農業協同組合の方にも、「子どもたちから電話があるかもしれませんがよろしくお願いします」という電話を入れました。
 決して心配だからではなく、あなた方の活動が大きく発展していくためには、担任だけでなく、あなた方に関わってくださる方々の理解と協力が必要であり、そこには、私を含め、あなた方の教育に携わってくださる方々の共通理解が大事になってくるからです。

 この時だけでなく、この後の活動の中でも、あなた方の行動を予想し、家族や碓氷製糸農業協同組合の方々、他にもたくさんの方々と事前に共通理解を図る機会がいくつもありました。でも、それはあなた方の行動力を信じていたからこそ行えたことであり、どんなに共通理解を図っても、あなた方がそこまで活動を発展させたり考えたりしなければ必要のないことだったと思います。
 「絶対」とは言い切れないことかもしれませんが、私はあの頃、「あなた方ならば絶対にここまで求めるだろう」と、小学生だからといって限界を定めず、かなり発展的なところまで予想し、また心の底から期待していました。

 あなた方はその期待をはるかにこえていきました…。
                                       つづく…

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