「・・・・・・・・・・(シーン)」
体育館に並んでいる5年2組の前に立った時のあなた方の戸惑っているような表情というかしぐさは、今でも鮮明に覚えています。周りでは拍手や悲鳴のような声で騒がしくなっている中、5年2組の列だけは「・・・・・・」。無言で私を観察しているようなまなざしでした。あなた方の緊張と不安が、表情を通して素直に伝わってきました。
高学年の段階に入ったあの時のあなた方は、自我も芽生え、周りの大人や同級生のことを客観的にみられるくらいに成長していたと思います。クラス替えで親しい友だちとの別れに少し動揺している中、着任式で紹介されたばかりの、どこの誰ともわからないような私が自分たちの担任になったのですから、それは当然のことだったと思います。
まばたきもせずじっと観察している子の中で、沙織さんのようにニコニコ微笑みかけてくれる子もいれば、洋樹さんのように目をくりくりさせながら早速話しかけてくれる子も出てきました。互いにどことなく緊張感がありましたが、あなた方が私に向けてくれた瞳は、緊張と不安があっても、これから始まるあなた方との学校生活をわくわくさせてくれるものだったことは間違いありません。今、こうやってあの時のことを鮮明に思い出せるのも、この25年間、さまざまなかたちでつながっていられるのも、あの時のあなた方の瞳が印象的だったからです。
つづく…
コメント
早く続きが読みたい!
さっそく日々の楽しみになっていること間違いないです(^^)
私も通勤の途中や子育ての合間に読むのが楽しみになっています。
形が変化した全力投球を読んでいるようなそんな感覚。
当時、毎日学級通信が来ることに驚いたのを覚えています。きっと子供たち以上に親たちの方が楽しみにしていたのではないかなと今になるとより強く感じます。
続き楽しみにしてます!