29.必要感の中から協力する大切さに

 5月の初め頃、蚕の卵もまだ届いていない頃から自転車で桑の木を黒川の方に探しに行ってくれた人たちがいました。この行動に刺激を受け、紋加さんや朗宏さんが桑の葉を教室に持ってきてくれました。こうやって、「僕も… 私も…」と、行動を起こすエネルギーを知らず知らずのうちに仲間からもらい受けていたのです。
 次々に桑の木の場所についての報告が続き、蚕が誕生するまでに、あなた方はすでに20本以上の桑の木を学区内に見つけていました。

 芽さんは、自然観察会のコース地図を持ってきて、「先生、この間の休みの時に黒川を歩いてみたら、この辺りに桑だと思う木があったよ。」と教えてくれました。「ここは、優人さんの家の近くだよ。」と話すと、「じゃあ、私は遠いから、優人君に摘んできてもらおうかな」と話してくれました。とても嬉しい一言でした。

 みんなで取り組んでいる活動では、楽しさとともに真剣さや取り組みに対する情熱が湧いてくると、「クラスのために…」「みんなのために…」という気もちが自然と芽生えていくもので、必然的に仲間と協力し合う場が生まれてくるものです。頼ったり頼られたり、必要感の中から協力する大切さに気づいていき、当たり前のように協力し合っていく集団に成長していきます。学級づくりの中で、学習においても、日常のクラス活動であっても、わたしが期待し、願っているクラス像でした。

 あなた方は、互いを頼りながら蚕を育てたり、探究活動を進めたり、友だちとの関わり合いや関わろうとする気もちを、自分たちで広く深く耕していく姿を、2年間にわたり、わたしに見せ続けてくれました。
                                       つづく…

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