69.大人の心を動かす大きなエネルギー

 わずかな蚕の繭。碓氷製糸農協にとっては利益もなく、この繭だけから糸をとることは作業も面倒なことだったと思います。それでも、あなた方の思いに誠実に応えてくださり、あなた方一人ひとりの手に渡るようにと、手作業で一つひとつ束ねてくださってあったことに、私は強い感動を覚えました。あなた方があの時抱いた感動は、感謝の気もちとともに、その後の様々に広がる活動への意欲や情熱へとつながっていったことは間違いないと思います。
 さらには、今に至る人生の中で、何かしら影響を受けることがあった人たちもいたのではないか、と言っても過言ではないと思います。そこまで大げさなことではなくても、成人した今でも、生糸を手にした時のことは、誰もが大切な思い出の一つとして、心のどこかに持ってくれていると信じています。

 あの時、茂木組合長さんをはじめ碓氷製糸農協の方々の心を動かしたのもあなた方自身だったことは確かです。真剣な姿勢で取り組んできている過程に対する「自信」と「情熱」が真っ直ぐにとどいたのだと思います。あなた方の思いとか願い、一生懸命さ、そして行動力とねばり強さは、大人の心を動かす大きなエネルギーを持っていました。

 あなた方が生糸を家に持ってかえると、家族からその様子を報せてくださる手紙が教室に届きました。生糸を手にしたときの様子は私も見ていましたが、家に持って帰ってどのように家族に見せていたのかはもちろんわかりません。しかし、家庭から届く手紙を読ませていただいて、わたし自身の大きなエネルギーとなりました。                                          

                                     つづく…

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