180.学校の周りには桑の葉を手に入れることのできる自然が…

誕生から数日後、蚕は1回目の脱皮を終え、順調に育っていました。教室には毎日桑の葉が届き、蚕を育てている容器の近くに行くと、とてもなつかしい香りがしていました。
 「あー、あの匂い…。」
とつぶやいている人も…。前年の蚕との時間を思い出す香でもありました。.
 この年も、自宅でも育てようと、容器の中から自分の入れ物に移して自宅に引っ越しさせた人もいました。自分専用の容器に移し替えて教室で飼おうとしている人たちもいました。5年生の時も自分の蚕として繭まで育てた人たちがいましたが、5年生の時は、3齢や4齢になった頃の蚕を自分の蚕として育てたので、2回目となるこの年は、まだ6㎜ほどの小さな蚕から自分で育てようとしていました。
 育てる時間も長くなり、また違った思いや感動に出会える楽しみが膨らんでいたと思います。蚕は日に日に大きくなっていき、その命を自分のものとして大切にしているあなた方の姿を思い出します。

 この頃、綾瀬市の小学校の先生から『蚕は友だち』に関する問い合わせがありました。シルク博物館での説明会の時にお聞きになられたようでした。その学校では、桑の葉だけでは足りないため人工飼料も使用しているとのことでした。シルク博物館の方からも人工飼料の購入先についての説明があり、現実問題として、当時も今も、都会で桑の葉だけで育てられる学校はそう多くはないと思います。もちろん、蚕にとっては桑の葉が一番です。昔、養蚕が盛んであった栗木台小学校の周辺には、まだ桑の葉を手に入れることのできる自然が残っていたことも、あなた方にとって幸せなことでした。                                         

                                       つづく…

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