あの頃、「楮(こうぞ)〈クワ科〉」を原料にした紙すき体験は多くの小学校で行われていましたが、あなた方は、同じ紙すきでも、地元の桑の木からその繊維を自分たちで取り出すことから始めていました。
下黒川の熊澤さんの畑にある桑の木から大量に枝をいただいたのは11月の終わり頃。日が暮れて真っ暗で寒い中を一生懸命持って帰ってきたあの枝を30㎝ほどに切り、かなづちでたたいて皮を砕き、その皮を煮込んで軟らかくしてから皮をむいて繊維を取り出すという根気のいる作業を、桑の木グループの人たちは、およそ2ヵ月間地道に進めてきました。おそらく、あなた方が最初に思っていたよりもはるかに大変な作業で、先の見えない時間のかかるものだったと思います。途中であきらめることもできたかもしれません。しかし、どんなに長期的な活動になろうとも、誠実に取り組み続けていました。そして、休み時間や冬休みなど時間があれば積極的に作業に加わってくれるなど、仲間の熱心な協力もありました。
これまで何度も書いてきましたが、仲間の学習過程にも関心を寄せ、それを支える環境が5年2組にはありました。2月初旬には、全員で「釜ゆで(煮沸)」された桑の木の皮のちりとりをしました。このちりとり作業も時間のかかる地道な作業でしたが、クラス全員で行うことにより、一気に進めることができました。その後、カシの木で作られた叩き棒で叩く「叩解(こうかい)」という労力のいる作業にもねばり強く取り組み、「漂白」という工程を経た後、この繊維を一本一本ばらばらに砕くためにミキサーにかけました。このミキサーにかける作業を何度か繰り返して繊維をより細かく分散させると、ついに紙すきが可能な〝紙料〟が完成しました。
〝紙すきの体験〟は、2月7日に決まりました。
つづく…
158.木の枝の繊維を取りだして「紙料」にするまでにおよそ2ヶ月
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