190.あなた方にはやらなければならないことが…

 教室の繭は、前年と同様に群馬の碓氷製糸農協にお願いして糸にしていただくという考えでまとまりました。そして、今年は繭を送るのではなく、夏休みに入ったら自分たちで碓氷製糸農協に直接持っていくという人たちがいました。5年生の時も、優人さん、一磨さん、拓哉さん、玄太さん、英貴さんの5人が、実際に自分たちの繭が糸になった現場を見たいと夏休みに訪ねました。この時、行くことができなかった人たちや、実際に訪ねた5人の話を聞いて、「来年の夏休みにわたしも行きたい。」と話していた人はたくさんいました。あれから一年が経ち、その夏休みがもうすぐやってくる頃、あなた方は家族に相談していたと思います。

 繭を糸にすることを決めたあなた方には、やらなければならないことがありました。それは、蚕蛾(成虫)になる前に、繭の中にいるさなぎの命を絶たなければなりませんでした。大人になる一歩手前で、ここまで育ててきた蚕の命を絶たなければならないのです。あなた方は前の年もそうでしたが、繭になった蚕を冷凍庫に入れてしまうことについて複雑な思いを抱いていたと思います。毎日、桑の葉をあげたり手のひらにのせて可愛がったり、自分の教室にいる蚕がちょっと自慢に感じていた人たちもいました。それでも、あなた方は話し合いの末に冷凍庫に入れました。あの頃のことを思い出すとき、前の年にあなた方が書き残した詩の中にある有李さんや拓哉さんの詩が思い浮かんできます。『蚕‐私たちの蚕物語‐』に収められている詩です。       

                                       つづく…

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