146.私にとってこうした事前の活動は喜び…

12月8日から一週間が過ぎ、2学期も残りあとわずかとなっていた頃、「黒川シルクロード」を調べているグループは、昔、黒川から実際に繭が運ばれていたルートを冬休み中に歩く計画を立てていました。熊澤さんへの聞き取り調査で、繭は横浜の長津田の乾繭倉庫に自転車にリヤカーを付けて運んでいたという話を聞き、横浜市青葉区の図書館にその倉庫についての資料を収集に行きました。さらに黒川から長津田までの道のりを、地図上で熊澤さんと根気強く確認してきました。
決行日は12月27日。出発は朝8時に決まり、当時のルートを現代の地図で確認し、距離や時間なども計算しました。そして、計画書を全員に配り、このグループのメンバーだけではなく、一緒に「黒川シルクロード」をたどりたい人を募ってくれました。歩く距離はおよそ13㎞の予定。もちろん、私も参加したいと思いました。希望すると同時に、当日までに前もって一人でそのルートを歩いてみました。
 授業中のことではありませんが、多くの子どもたちが参加し、学習にかかわる課題探究とその解決に取り組もうとしているのですから当然です。ルートを調べ、計画を立てるのはあなた方の主体的な取り組みですが、それを支えるのが担任の役割です。
 その道が実際に歩けるのだろうか…、安全面はどうなのか…、トイレや休憩するところはあるのか…、実際にどれくらい時間がかかるのか…、乾繭倉庫は存在しているのか…、途中、探究を深められる場所や機会がないだろうか…、そういう事前確認は担任の役割です。しかし、確認したことを伝えることはしません。事前に歩いたことはもちろん話しませんでした。もし私が事前に歩いていることを知ったら、あなた方の探究心や冒険心、モチベーションは間違いなく下がってしまいます。
 私が事前にチェックしたものは、当日、必要に応じてアドバイスしたり支援したりするためのものです。事前にチェックしておかなければできないアドバイスや支援はたくさんあります…。何よりも安全面での下見は必要不可欠でした。5人が夏休みに碓氷製糸農協に出かけたときも、事前に下見をしていました。でも、前もってアドバイスしたことは、新幹線を降りた後の乗り換えについてぐらいで、他にはほとんどしませんでした。こうしたことを「大変」と感じる人がいるかもしれません。でも、私にとってこうした事前の活動は、喜びでしかありませんでした。喜びが嘘でないことは、あなた方ならわかってくれると思います。       

                                       つづく…

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