手漉きの「黒川和紙」ができるまでにはかなりの時間がかかりました。だからこそ、あの時、和紙を漉いた確かな実感が、あなた方にはあったと思います。そして、今、自分が漉いたあの時のことを思い出せる人もいるのではないでしょうか…。
わたしは、紙を漉く時のあなた方の集中している目がとても印象に残っています。大はしゃぎしながら漉くものと思っていましたが、そうではなく、楽しそうな雰囲気の中にも緊張感が漂っていました。特に最初の1枚目を漉いている時のあなた方の真剣な眼差し、集中力には、何とも言えない緊張感がありました。
「紙料」にするまでに、探究グループの人たちは一生懸命取り組んできていました。皆もそれを知っていましたし、だからこそ協力もしていました。長期にわたる地道な作業過程を経験しているからこそ、わずか1、2枚の和紙しか漉けない価値を自覚し、慎重に丁寧につくり上げようという気もちがあったのかもしれません。
「黒川和紙」を漉く体験をした後、教室で作文を書きました。その作文は、「熊澤さんに自分の思いを伝えよう」というめあてで書いたのですが、放課後、あなた方の作文を読んでいて驚いたことがありました。それは、あなた方の書いた作文の多くに、「紙を漉く前の緊張した様子」が書かれていたからです。緊張感があるからこそ、成功、失敗への思いも強く、自分の和紙への愛着も深まります。
漉いた紙は板の上にのせ、乾燥棚に干して帰りました。翌日、出来上がっている黒川和紙を手にするのがどれだけ楽しみにしているのかも、あなた方の作文を読んで伝わってきました。
つづく…
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