164.「地域」の方々から見守られていたあの頃…

 黒川和紙を手にした4日後の2月12日。
 黒川蚕影山和讃保存会の方々が年に一度、2月の初午の日に集まって和讃を唱える「蚕日待(かいこひまち)」でした。ミニ保存会を結成していたメンバーをはじめ20名近くで見学させていただくことになっていました。そして、「蚕影山和讃」について探究してきたグループを中心に17名が実際に唄い、保存会の皆さんに聴いていただくことにもなっていました。取り組んできた成果に加え、自分たちの住む町に昔から伝わる伝統行事を、今も守り続けている方々の存在を身近に感じて欲しい…、この町の良さを一層感じて欲しいというのがわたしの正直な願いでもありました。
 わたしは、小学生や中学生の子どもたちには、自分たちの住む町のことをいろいろ知って欲しいと思っています。実際に見たり、直接お会いして話を聞いたりしながら、子どもたちの豊かな感性で、自分の住む町の良さ、時には良くないと思うところも感じてほしいと思っています。このことがきっと、子どもたちが「地域」を意識し、「地域」の方々が見守ってくださっている様々なことに目を向け、耳を傾けることができるようになると思っています。
 子どもたちにとって、まず「家庭」があり、そして「学校」があります。しかし、家庭も学校も限られた集団であり、ここでは自分の存在を知ってもらい、認めてもらい、自分も周りのことが把握できます。しかし、子どもたちにとっての生活の場は「家庭」や「学校」だけでなく「地域」があります。むしろ、高学年、中学生と成長するにつれて、生活の場は「地域」に広がっていくものです。「地域」というよりも、もっと広い社会に広がっていくはずです。あの頃の自分を振り返ってみてください。生活の場は次第に外へ外へと広がっていたと思います。
 「家庭」や「学校」だけでは見守りきれない行動力の広さは、子どもたちにとって成長でもあります。「家庭」や「学校」では学べないものを「地域」から学びとったり社会のルールを身につけたり、感性を磨いたりしながら、一つ一つが少しずつではあっても成長につながっていたと思います。そんな子どもたちの成長を見守ってくださるのは「地域」の方々です。12日の「蚕日待」で「蚕影山和讃」を唄うあなた方と保存会の方々の姿に、そのことをあらためて実感していました。
 次は、あなた方が自分の地域で生活している子どもたちを見守る番です。                                                                                                      

                                        つづく…

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