165.クラスの仲間の喜びにつながることを知っていた…

「なぜ蚕なの?」と問われた時、黒川や栗木の産業や歴史が学べる…、学習課題としての意義がある…、子どもたちにとって興味関心がもてる…等々、一般的な話になることが多いのですが、あなた方の取り組んできた一つ一つの過程と、その過程の中で見せてくれた探究心や情熱が、「なぜ蚕なの」という問いへのすべての答えになると思っています。
 そして、それが「蚕」ではなくても、別のものであっても、あなた方が「過程」を大切にし、活動に情熱を向けていくことができるものと出会えれば、豊かな心、豊かな人間関係を築いていく力や感性は自然と育まれ、貴重な学習機会を創造していたと思います。

 わたしは、栗木台小学校の5年生の教室で蚕を飼うことで、自分たちの地域の昔のことについて関心を持って探究していくことができるはず…、という考えや構想は持っていました。しかし、「蚕」を愛情深く育てる中で仲間と共有できた感動や自信、さらには仲間の感性を大事に、一つ一つ活動を展開していったあなた方の行動力や発想力は、担任の構想をはるかに越えていました。本や資料を集めるだけでなく、現地に足を運んだり、地域の方への聞き取り調査をしたり、様々な体験活動を自分たちで「創造」していき、「知りたいこと、聴きたいこと」は、訪ねて、見て、聴いて、知る」という活動を楽しんでいました。
 探究意欲の継続につながる要因のひとつとして、自分の探究課題だけでなく、他の課題への関心を持っていたことも大きかったと思います。それぞれの自分の課題を探究しながらも、他のグループの課題に関心を持っていることで、一緒に活動したり関連性を持ったり、時にはそのグループに入って調査活動や資料収集、体験活動に協力したり、自分の活動として取り組むことができていました。他の課題について探究する活動に参加することが、自分の課題を別の視点から考えたり迫ったりするきっかけになることもあったと思います。                    
 これは理想的なことですが、子どもたちにはなかなか難しいことでもあります。それがあなた方にできていたのは、「探究」することが自分の単なる学習課題の解決にとどまることなく、クラスの仲間の喜びにつながることを知っていたからだったと思います。
                                       つづく…

コメント